ケンジ&リリアナのブエノスアイレス

海部さんの発刊するタンゴ情報誌「チャムージョ」(Chamuyo)2月号に
昨年暮れの  トリオ・ロス・ファンダンゴスとのブエノスアイレスツアーの様子を書いてくれと頼まれて、寄稿いたしましたものです




2013年11月30日久しぶりのブエノスアイレスへ発ちました。ここ20年毎年1度か2度訪れていましたが、昨年は仕事の都合で行くことができなかった2年ぶりのブエノスアイレス。
今回も一昨年同様  タンゴバンド  トリオ・ロス・ファンダンゴスのブエノスアイレスでの公演が主な目的です。2006年と2011年にブエノスアイレスでのミロンガやコンサートホール、そしてラジオ局などで演奏し、着実に認知され、沸き立たせたファンダンゴス、メリハリとスピード感のある演奏、譜面なしで対峙する演奏スタイル、そして毎晩ミロンガに通いどのような曲がブエノスアイレスつ子に好まれるのかを研究して選んだ曲の数々、今回のツアーでどんな成果が得られるかとても楽しみでした。
 12月1日  ヒューストン経由で  2年ぶりのエセイサ空港におりたちました。空港も新しくなり、入国審査もアメリカ同様指紋認証などが導入されていました。
私たちが宿としているのは、サンテルモ地区にあるサンテルモコロニアル。個人の方のお住いなのですが、コロニアル時代の古い家屋をそのまま保存し、広い中庭に家屋が広がっています。10年以上お世話になっており、ここで過ごす時間はとても落ち着き、大好きです。
サンテルモコロニアルに到着すると、ファンダンゴスのメンバーと写真家の中島純治さんが出迎えてくれました。ファンダンゴスは私たちより5日早く到着し、すでにラジオパレルモの出演と日亜会館での公演を終えていました。
日亜会館での公演では、ダンサーに平井ご夫妻とラム&ロベルトに踊っていただきました。前回、前々回同様  今回もツアー公演のスケジュールはすべて ダンサーのチノ&ミホさんにお願いしてありました。やはりブエノスアイレスでの公演には、現地を知り、現地に顔があり、言葉の交渉が速やかに行える人でないとなりません。その上チノ&ミホさんは、ピアノの手配、タクシーの手配などとすべてに細やかなアテンドをしてくれます。
結局  ファンダンゴスは12日間でラジオ・パレルモ、FMタンゴリブレ、FM2X4などラジオ出演4回、カニング、イディアル、などの有名ミロンガやタンゴフェスティバルなどでの演奏8回をこなしました。ダンサーもチノ&ミホ、シンティア&ブルーノ、平井ご夫妻、ラム&ロベルト、そして私たちと、多彩な顔ぶれでブエノスアイレスを楽しませてくれました。そしてその演奏は「Loca」「Pensalo Bien」「Saludos」「Bajo en cielo de Estrellas」など踊る人が喜ぶ小気味のいい曲を網羅し、それをタンゴ、ワルツ、ミロンガと数曲ずつ タンダごとに演奏していくので、ミロンガの人たちは大喜び、1曲ごとにすごい拍手が舞います。そしてフェスティバルでは他のミュージシャンたちとも交流し、彼らもファンダンゴスの演奏を喜んでくれていました。ラジオ局でも生放送10曲を演奏して、視聴者からの大反響を受けました。そしてそのラジオ出演の模様は日本でも聞くことができ、写真家の中島純治さんがインターネットでその映像を流し、1000件以上のアクセスがあったそうです。

昼は レコレタやカミニートと市内見物、靴屋回り、そしてレストランで肉肉肉と食べ歩き、夜はエレキピアノ、アコーデオン、バイオリンを持ってミロンガで、ラジオでの演奏と、怒涛の日々でした。
オフの日に  ブエノスアイレスから北に80キロ  カルダレスにあるサンタスサーナ農場にガウチョツアーに行きました。見渡す限りの大空と大地。何百人も入れる大きなレストランには舞台があり、そこで食事をしながらタンゴやフォルクローレのショーを見せてくれます。その横の大きなアサド用のストーブでは数百人分のアサドの準備、炭火で肉を焼くいいにおいが充満しています。その前に腹を減らすためか、乗馬ができます。馬に乗るのははじめてですが、馬上からの眺めというのはいいですねえ。一人一人あてがわれた馬に乗り、柵の前の馬だまりにいくと、馬がウンともスンともいわず動かなくなってしまいます。たまらず手綱を引き走らせようとするとブルルルルンと余計なことをするなとばかりに馬に怒られます。あちこちに馬が溜まり、みんな動かずに往生しています。全員が馬に乗り準備ができ、ガウチョが先導すると、先ほどまでウンともスンとも言わなかった馬が先導する馬に従い、小走りに走り出します。実によく訓練されている馬たちです。馬だまりから柵を出て、広い広野に20頭以上の馬がはしりだします。その土煙たるやすごい、後方になるとすべての馬の砂塵をかぶります。20分くらいで一周回って帰ってきます。その他馬車に乗ったりと楽しみました。アルゼンチンの広い大地で  大空の下  ビールを飲みワインを飲みのんびりと過ごします。大人の遊園地ですね。食事の用意が出来、大食堂に。ワインが飲み放題、サラダと大きなチョリソ、モルシージャ(血入りのソーセージ)、チキン、ビュッフェデチョリソと先ほどの大きなストーブの炭火で長時間焼き上げられた肉が次々と出てきます。そして最後に最高級のビュッフェデロモ、本当に美味かった。食事の終わりにタンゴ、フォルクローレのショーを楽しませてくれます。食後には、また、青空の下で馬たちのショーを楽しみました。

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